イノチムスブ家×レインボーハート ~社会とつながる職業体験プロジェクト~

2025-05-05

常日頃より、格別のご支援を賜り、誠にありがとうございます。

一般財団法人イノチムスブ家では、2025年3月14日に愛知県小牧市のフリースクール「レインボーハート」の子どもたち13名(小学生8人・中学生5人)のキッザニア甲子園への日帰り旅行支援を実施いたしました。この活動は、当財団の設立趣意書に基づくもので、皆様からのご寄付によって実現することができました。

フリースクール「レインボーハート」について

レインボーハートは、虐待や家庭環境などの理由で学校に通えない子どもたちのためのフリースクールです。不登校になった子どもたちや、自閉的な特性を持つ子どもたち、家庭内でのコミュニケーションに困難を抱える子どもたちに対して、安全で安心できる居場所を提供しています。

ここでは、看護師や心のケアに長けた専門スタッフが常駐し、子ども一人ひとりの個性やニーズに寄り添った学びの場を整えています。たとえ通常の学校に通うことが難しくても、出席として正式に認められる認可を受けており、子どもたちは安心して、自分のペースで日々の学びと生活を重ねています。

このフリースクールを支援先として選んだ理由は、レインボーハートが単に学習の場を提供するだけでなく、虐待防止や家族関係の修復にも取り組んでおり、当財団の理念と深く共鳴するからです。施設に入所する前の段階で介入し、家族と子どもの関係を改善するための「もう一つの手」としてのサポートを行う姿勢に共感を覚えました。

教育支援プログラムとしての位置づけ

今回の活動は、当財団の4つのミッションのうち「虐待児童の教育への支援、教育の場の提供」に焦点を当てた取り組みです。特に「将来の夢や目標に向かって進むことを支援する」という部分を具体化したものとなりました。

普段は社会との接点が限られている子どもたちにとって、キッザニアでの職業体験は、社会の仕組みや働くことの意義を体感できる貴重な機会です。この日の活動は、子どもたちの社会性や自己肯定感を育む教育的意義を持った体験となりました。

旅行実現までの準備

旅行の実現に向けては、レインボーハートの先生方と入念な準備を重ねました。先生方はまず、子どもたちがキッザニアで何ができるのかを詳しく調査し、一人ひとりに丁寧に説明しました。家族への説明や同意取得も慎重に行われました。

こうした場所へ足を運ぶことに不安を感じる子どもたちも少なくありません。そこで先生方は、キッザニアでの体験が自分自身の成長や力につながることを、繰り返し丁寧に伝えながら、子どもたちが前向きなイメージを持てるよう工夫を重ねていました。

準備の過程では、子どもたち自身も様々な役割を担当し、しおり作り、バスの座席配置、グループ分け、当日の挨拶の練習など、様々な活動に取り組みました。これらの準備自体が子どもたちの成長につながる経験となりました。

当財団としては、費用面のサポートだけでなく、子どもたちや先生方との関わり方についても事前に相談し、当日のサポート体制を整えました。

子どもたちの様子と印象的な変化

キッザニアでの体験では、子どもたちが特に行きたかった職業体験は混雑で参加できないケースもありましたが、石鹸作りやネイル、裁判所などの体験に参加した子もいました。のんびりとした性格の子が多く、予約や並ぶタイミングを逃してしまうこともありましたが、それでも自分なりに体験を楽しむ様子が見られました。

もっとも印象的だったのは、旅行を終えた子どもたちの変化でした。あるSNSグループ内でトラブルが起きた際、以前であれば排除の方向に話が進みがちだったところを、子どもたち自身が「この子にも良いところがあるから、別の方法を考えてみよう」と提案し、話し合いを始めたのです。仲間を大切にしようとする気持ちや、自分たちで問題を解決しようとする力が育まれたことは、大きな成長のあらわれでした。

このような姿を目の当たりにした先生方は、「もっと子どもたち自身ができることを増やしていこう」と考えるようになり、これまで以上に子どもたちの主体性を尊重する関わり方へと、支援のあり方を見直すきっかけになったと話していました。

支援の効果と課題

当初、私たちは一般的な子どもたちがキッザニアで目を輝かせて楽しむ姿を思い描いていました。しかし、実際に目にしたのは、それとは少し違う光景でした。体力的に疲れやすい子も多く、表情や態度からは必ずしも楽しんでいるようには見えない場面もありました。

ところが後日、先生方にお話をうかがうと、子どもたちにとっては非常に楽しく、充実した時間だったことがわかりました。このことは、私たちにとって大きな学びとなりました。特別な環境で育つ子どもたちの感情表現や反応は、私たちの持つ“当たり前”の基準では測れないこと、そしてその違いを理解するには、先生方のような専門的な視点が欠かせないということに気づかされました。

また、運営面でも課題が見えてきました。今回はレインボーハートの先生2名に加え、当財団からも4名がサポートに入りましたが、子どもたち一人ひとりに適切な支援を行うには、より多くの専門的なスタッフが必要であることが明らかになりました。今後はこの点を改善し、より安心して参加できる体制づくりに努めていきたいと考えています。

今後の展望

今回の活動を通じて得た経験をもとに、今後も同様の支援活動を継続していきたいと考えています。特に、虐待リスクのある家庭と子どもたちの間を取り持ち、施設入所に至る前の段階でサポートを行っている民間団体への支援を重点的に行っていく予定です。

レインボーハートとの関係についても、継続的なパートナーシップを構築していく予定です。具体的には、当財団が持つ「夢を叶えるワークショップ」などの教育ツールを活用して、子どもたちが自分の将来について考え、夢を持つきっかけづくりを支援していきます。

子どもたちの変化 - 心に残るエピソード

この活動を通じて印象的だったのは、子どもたちの自信の芽生えです。普段は人混みや新しい場所に行くことが難しい子どもたちが、大勢の一般の子どもたちと同じ空間で活動できたことは、彼らにとって大きな自信につながりました。

「僕たちも社会に出て、みんなと同じようにできるんだ」という実感が子どもたちの中に生まれ、「また行きたい」という言葉が子どもたち自身から出てきたことを、先生方は大変喜んでおられました。

また、普段は同じ室内や近所の公園で過ごすことが多く、親から離れることが難しい子どもたちが、一日かけて旅をして無事に帰ってこられたという経験も大きな成長につながりました。旅行から帰った子どもたちの顔つきや態度には明らかな変化が見られ、この体験が彼らの人生において重要な一歩になったことを実感しています。

感謝の言葉

最後に、子どもたちとレインボーハートの皆様より、財団法人イノチムスブ家にご寄付いただいた皆様にお礼をお伝えくださいとのことです。ありがとうございました。
引き続き財団法人イノチムスブ家は設立趣意書に基づき活動してまいります。皆様と共に子どもたちの命と社会を結ぶ活動ができることに感謝いたします。

今後ともご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

一般財団法人イノチムスブ家
代表理事 畑 鮎香

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